登記受付帳の「廃止」は誤解 ── 実際に消えるのは2項目
2026年10月の法改正を境に、「受付帳が廃止される」「受付帳が非公開になる」という話を耳にする不動産会社が増えています。ただ、その中身を正確に把握できている会社は、実はそれほど多くありません。
実際に起きるのは、受付帳の記載事項から「登記の目的」と「不動産所在事項」が削除されるという変更です。帳簿そのものがなくなるわけではなく、改正後も行政文書開示請求の対象であり続けます。法務省も、情報公開の対象外とする改正ではないと明言しています。
言葉だけが先行している一方で、実務への影響は決して小さくありません。「どこの不動産に、どんな目的の登記があったか」が読み取れなくなる以上、相続登記のあった物件を受付帳から拾い上げるという使い方は、事実上成り立たなくなるからです。受付帳を仕入れの入口にしてきた会社ほど、この10月を境に仕入れ手法の見直しを迫られることになります。
受付帳見直しの背景 ── 開示請求の64%が集中していた
今回の改正は、突然降ってきたものではありません。相続を経た所有者のもとに、複数の不動産会社から営業DMが集中して届くという問題は、以前から指摘されてきました。東京司法書士会は2025年7月、国民の個人情報・プライバシー保護の観点から、受付帳の記録事項や開示手続きのあり方を見直すよう求める会長声明を発表しています。今回の省令改正は、こうした現場からの声を受けたものです。
その受付帳が、実際にどれだけ使われてきたか。総務省の集計によれば、令和6年度に国の行政機関へ寄せられた開示請求215,425件のうち、法務省の「不動産登記受付帳」に関するものが138,476件にのぼります。国への情報公開請求の約64%が、この1種類の文書に集中していた計算です。土地・建物の権利異動、とりわけ相続の発生をいち早く面でとらえる情報源として、それだけ多くの不動産会社の仕入れ活動を支えてきたということでもあります。
2026年10月1日、登記受付帳の記載事項はこう変わる
改正の根拠は「不動産登記規則及び企業担保登記規則の一部を改正する省令」(令和7年法務省令第49号)です。2025年10月10日に公布され、2026年10月1日に施行されます。改正後の受付帳に記載されるのは受付の年月日と受付番号のみになり、「登記の目的」と「不動産所在事項」は記録されなくなります。
あわせて押さえておきたいのが、2026年4月1日に施行された住所等変更登記の申請義務化です。所有権の登記名義人の住所・氏名に変更があった場合、変更から2年以内の申請が義務付けられ、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります。受付帳という情報源が細る一方で、登記そのものに紐づく変化は今後も生まれ続けるということです。
対応を先送りにした不動産会社が失うもの
施行日は2026年10月1日と確定しています。ここで手を打たなかった場合、静かに、しかし確実に不利になっていきます。
- 仕入れ機会の先細り: 受付帳で売却の兆候をとらえてきた会社ほど、代わりの情報源を用意しない限り案件そのものが減っていく
- 獲得コストの上昇: 入口が細れば各社は一括査定サイトや広告に集中せざるを得なくなり、競争が激化して1件あたりの獲得コストが上がる
- 差が埋めにくくなる: 受付帳の実質的な終了はすでに確定した事実。動かなかった時間の分だけ、差はそのまま開いていく
重要なのは、受付帳が使えなくなるからといって仕入れ活動そのものを止めないことです。ルールが変わる局面では、動いた会社と止まった会社の差が普段より大きく開きます。
受付帳の代替手段3つと、それぞれの限界
受付帳に代わる手立てとして、いくつかの方法が現実的に考えられます。
- 査定サイト・広告への出稿を増やす: 反響そのものは得られますが、受付帳依存企業が一斉に同じチャネルへ流れ込むため競争が激しくなり、獲得単価は上がっていきます
- BPOやシステム導入で業務を効率化する: 営業担当者の手は空きますが、それによって仕入れの「入口」の数そのものが増えるわけではありません
- 過去の受付帳・相続データを使い続ける: 施行後もしばらくは手元のデータを使えますが、更新が止まる以上、時間とともに精度は落ちていきます
これらはいずれも、今の営業体制を守るための備えとしては有効です。ただし、受付帳が本来担っていたのは「相続などをきっかけに、そろそろ売りに出るかもしれない物件を、面で・早期に見つける」という発見機能そのものでした。守りの策をいくら積み重ねても、この発見機能そのものは戻ってきません。取り戻すには、待つのではなく、登記情報そのものから売却シグナルを能動的に拾いにいく仕組みが必要になります。
登記情報から仕入れを組み立て直す4つのステップ
登記簿マネージャーは、市場に出る前の物件を、登記情報から能動的に見つけ、効果的にアプローチするまでを一本でつなぐ、不動産仕入れに特化したサービスです。仕組みは4つのステップに分かれています。
地図で見つける
地図上で気になる物件をクリックすると、その場で登記簿(謄本)を取得できます。パソコンだけでなくスマートフォンからも取得できるため、外出先や現地にいながらそのまま調査を進められます。
AIが読み解く
登記簿には、土地・建物の基本情報(表題部)、誰がいつ所有者になったか(甲区)、抵当権などの担保がついているか(乙区)といった情報が記載されていますが、これを人の目で読み解くには手間と専門知識が必要です。登記簿マネージャーは、ここをAIが自動で構造化し、項目ごとに整理します。
売却シグナルを抽出する
構造化したデータから、AIが「そろそろ売りに出るかもしれない」というサインを抽出します。このサインは全部で52種類あり、相続直後の取得や相続登記の未了など、これまで受付帳が担ってきた"相続物件の発見"に相当するものも含まれています。そのうち29種類は、登記簿1通の情報だけで今すぐ判定できます。
リストを自動生成する
抽出したシグナルをもとに、「誰にアプローチすべきか」を絞り込んだ当て込みリストを自動生成します。そのままDM入稿データの出力、送付後の反応検知まで一気通貫でつながります。
料金は「成果が出たときだけ」
受付帳は開示請求さえすればリストが手に入りましたが、登記簿マネージャーの料金は考え方が異なります。謄本取得など入口部分の料金は実費相当まで抑え、対価をいただくのは当て込みリストという成果物が出たときのみです。席数による制限もないため、まずは小さく試しながら組織全体に使い方を広げていけます。
開発したのは渋谷の不動産会社 ── 3ヶ月で1億円の実績
登記簿マネージャーは、渋谷で創業50年の地場不動産会社・太平洋商事が、日々の仕入れ業務の中で抱えていた課題を解決するために生まれました。謄本を取得し、読み解き、転記して管理し、ドライブに格納する——この一連の作業に費やしてきた手間を、社内用ツールとして解消するところから開発が始まっています。
実際にこの手法で、太平洋商事は3ヶ月で1億円の利益を上げています。特別な受付帳依存を前提にせず、登記情報そのものから売却シグナルを拾い上げる仕組みが、実務の現場で機能した一つの結果です。
まとめ:受付帳終了後、仕入れの分かれ目はどこか
受付帳の実質的な終了は、たしかに大きな環境変化です。しかし、売却の予兆そのものが消えるわけではありません。予兆は登記データの中に残り続けます。それをどれだけ精度高く拾えるかが、これからの仕入れの分かれ目になります。
まずは対象エリアを絞って小さく試すところから始められます。登記簿マネージャーがどのように仕入れの現場に組み込めるか、気になる方はお気軽にお問い合わせください。